宇宙旅行サービス会社の皆さま。宇宙旅行を体験したお客様の満足度が上がらなくて困っていませんか?
私たちのリサーチから見えてきた、体験デザインのポイントをご紹介します。
閉鎖環境にグループで滞在する宇宙旅行では、旅行客が互いに心を許しながら思う存分楽しめる関係性を築くことが重要です。そのため、あらかじめグループの掟をつくっておくことや、打ち上げ前にグループの結束力を高めるアクティビティも大切になるでしょう。また、滞在中も旅行客同士の良好な関係性を保つツアーガイドの存在が欠かせません。
宇宙旅行は打ち上げ前から始まっています。旅行客はトレーニングを積んだり、非常事態に備えて宇宙船の構造を学んだりで大忙し。希望通りの地球の写真を撮るのにも、念入りな宇宙ホテルの軌道とスケジュールの確認が必要です。
旅行客がこうした事前準備を過酷で面倒なプロセスだと感じないためにも、旅行中の時間を最大限楽しむためのイベントとしてデザインしましょう。
宇宙旅行は、非日常的な環境を楽しむのはもちろん、自分の感覚の変化も楽しむ旅でもあります。どれだけ重力に頼っていたか気づいたり、45分おきに来る昼夜を体験しながら時間の流れを再認識したり。さらには、地球に帰って慣れ親しんだそよ風や土の香りに気づいたり。宇宙旅行を通して、旅行客が「当たり前」の感覚を再発見できる体験を組み込みましょう。
重力も時間の感覚も異なる宇宙空間は、人々に地上の常識を考え直すきっかけを与えてくれます。サービス提供者側が体験を全て用意するのではなく、旅行者が自分なりの楽しみ方を模索できる余白を残すことが大切です。
滞在先となる宇宙ステーションの壁に通信機器がびっしりと並んでいたり、冷却装置や空調などの機械音が常に鳴り響いていたりしていては、旅行客は落ち着けません。また、旅行中は打ち上げ時の5Gから無重力空間の0Gまでさまざまな重力環境を体感することになります。
多様な身体能力を持つ旅行者が増えることを想定して、だれもが体験を楽しめる、インクルーシブな空間デザインを追求しましょう。